前回までの振り返り
前々回はOFの選択肢を減らすことでDFの反応速度が速くなりますよ。という話をしました。
また前回は脱力で反応速度が速くなりますよ。と言う話をしました。
試してもらえましたかね?ぜひ1回は試してくださいね。合わなければやめればいいので。
ぜひ実験してください。
今回はOFのシュート成功率を下げる方法を2つ紹介します。1つ目がシュートコンテスト。2つ目がOFとの間合い。です。それでは詳しく説明します。
❶シュートコンテスト(=シュートチェック)で40%→33%(-7%)の効果
シュートコンテストのコンテストはcontest(競争、争い)で、「写真コンテスト」や「美人コンテスト」みたいな競争の意味で使われる言葉です。日本だとシュートチェックのほうがなじみがありますかね。
早速論文をもとに解説をします。
参考論文によると、シュートコンテスト言い換えるとシュートチェックをすると、
OFのシュート成功率が40%→33%(-7%)に下がるという結果が出ています。
7%ってそんなに効果なくない?と思う方もいるかもしれませんが、1試合丸40分通してチーム全体で徹底できると非常に効果が出ます。余裕で試合を左右するレベルです。
具体例で説明すると、仮にAチームとBチームで試合をしていて、両チームともに2点シュートが100回あるとします。
Aチームはシュートコンテストを全くされずにシュート確率40%、
Bチームはシュートコンテストを全ての機会でされるために、シュート確率33%。
とすると、
Aチーム:2点×0.4×100=80点 に対して、
Bチーム:2点×0.33×100=66点 となり、
14点も点差に現れてきます。
14点差の試合だと、「圧勝」まではいかなくても、危なげない試合かな、という試合になりますよね。それくらいの差を生みます。ということは忘れないようにするとよいかな、と。
「シュートコンテストが重要」ということを知った後にNBAの試合を見ると、違った見方ができて面白いですよ?スリーポイントシュートのチェックなんて、「そんなに飛ぶ?!」ってくらいシュートチェックしてますからね。
興味がいる方もいると思うので、軽く論文の紹介をすると、
2013年関西女子大学バスケの1部上位4チームの計12ゲームを対象としている。シュート回数は1670本。そのうちシュートコンテストありの本数は981本(59%)。シュートコンテストなしの本数は689本(41%)。
シュートコンテストの定義は、「腕1本分以内の距離にDFがいて、シュート動作時に反則(ファール)を起こさずに、OFのボールに対して手を挙げた行為」としている。
結果は前述したとおり、
シュートコンテストなし:40%
シュートコンテストあり:33% (-7%)
です。
❷OFとの間合いで効果のあるランキング1位~4位
相手チームのシュート確率を下げるために重要なもう一つの要素は、「OFとの間合い」です。
参考論文ではOFとDFの距離(間合い)を以下6つの分類で分析しています。この6つの分類がどのようにシュート確率に影響しているかの分析となります。ダブルチームだけ2人いる場合ですが、それ以外はDFが1人の場合となります。
・ノーマーク
・ワンアーム以上
・ワンアーム
・ハーフアーム
・ダブルチーム
・接触状態
この分類を、1位をDFの効果が高い、OFのシュート確率を下げる。として4位をDFとして機能していない、いわゆるOFのシュート確率を下げることができないものとした場合の1~4位を紹介します。
(DFの意味なし)→(DFの効果あり、相手のシュート確率を一番下げる)
の順番で並べています。
4位:ノーマーク≒ワンアーム以上 ※DFの意味なし
3位:ワンアーム
2位:ハーフアーム
1位:ダブルチーム≒接触 ※DFの効果バツグン
4位はそりゃそうだろって感じですが、ノーマークがダントツ1番です。
注目点はワンアーム以上だとほぼノーマークと同じくらいしか効果がないこと。どうせDFにつくのならワンアーム以上でつきたいですね。
3位、2位は順当にワンアーム、ハーフアームですね。まぁイメージ通りですかね。
1位はダブルチームと接触状態ですね。ダブルチームは2人かけているから当たり前ですね。ここでの注目点は1人でDFをしていても接触状態であれば、ダブルチームと同程度の効果が見込めるということ。
つまり1人でも接触状態であればそれは2人でDFをしているのと同じ効果が見込めるということです。
まとめると重要なことは2点ですね。
1点目はDFをするのであれば最低でも、ワンアームでDFをしたいですね。ワンアーム以上だとノーマークと同じですよ。ということ。
2点目は接触状態までいけばDFが一人でもダブルチームと同じくらいの効果が見込めるということです。
今回の論文はシュート確率への影響度の論文ですが、シュートというよりも、どの程度OFがプレッシャーを感じているか、がわかる。ともいえると思うので、ぜひOFとの間合いは意識してDFをすると良いと思います。
ぜひ試してみてください。今まで違ったDFになるかもです。
最後までご覧頂きありがとうございます。次回もお楽しみに。
このブログは参考資料と、このブログの過去記事を元に考察したもので、あくまで一説です
参考論文:
・白井徹ほか(2017)バスケットボール競技におけるシュート・コンテストの有効性について
・八板昭仁ほか(2017)バスケットボールにおいてショットの成否に影響する諸要因