リバウンドは攻撃回数2回分の価値があるから重要!!
初回のブログで「バスケの勝敗は期待値と攻撃回数で決まる」という話をしました。
でリバウンドが期待値と攻撃回数のどちらに影響するかというと、リバウンドは攻撃回数に影響する行為となります。
また以前の記事で「リバウンドが勝敗に与える影響と、リバウンドの参加人数によってリバウンドの有利不利が変わります」という話をしました。リバウンドは攻撃回数2回分の効果があるので非常に重要です。
今回はリバウンドにおける視線について、論文を交えて解説したいと思います。バスケの初心者と熟練者で視線が異なるので、どう異なるのか説明したいと思います。
スポーツにおいて視線は非常に重要です。例えばフリースローでは「QuietEye(視線固定)という方法でフリースローの確率が22%上がります!!」という視線とフリースロー確率についての記事を過去に書いているのでそちらをご参照ください。
初心者と熟練者のシュート成功可否判断は30%違う??
今回の研究は慶応大学の2010年の、フリースローの際のリバウンドと視線についての研究となります。フリースローを打ってからリバウンドまでの時間は前に過去記事で書いた通り、1秒程度となります。この1秒の間にどのような視線の変化をするかの研究となります。
研究対象者は20歳前後の24名です。半分の12名はバスケ経験なし。もう半分の12名は経験年数が約10年となります。
でこの2つのグループの人にフリースローの動画を見てもらい、シュートが入るか否かの判断をしてもらいます。この際に視線がどのように動くかのデータを取り、初心者と熟練者の視線の違いを分析しています。なおフリースローの動画は、フリースロー成功率が90%で、競技歴20年の男性選手が100回のフリースローを打つ動画となっています。
研究対象者には2つの条件でシュートの成功可否を判断してもらっています。
❶シュートがリリースされてから0.133秒後に、シュート成功可否を判断してもらう
❷シュートがリリースされて、リングに当たる0.133秒前までで、シュート成功可否を判断してもらう
フリースローがリリースされてから1秒でリングに当たるまたは入るとすると、
❶の条件はリリースしたばっか(1秒のうちの13%の時点で成功可否判断)
❷の条件はシュートが入るちょっと前になります(1秒のうちの86%の時点で成功可否判断)
この2つの条件で初心者と熟練者の正答率にどのような違いがあったかというと
❶リリースされてから0.133秒後に判断
初心者正答率:約40%
熟練者正答率:約70%
❷リリースしてリングに当たる0.133秒前に判断(≒リリースされてから0.867秒後)
初心者正答率:約50%
熟練者正答率:約80%
となり、どちらの条件も熟練者が30%くらい正答率が高い結果となりました。ここまでの結果を見ると熟練者のほうがシュートが入るかどうかわかるのね、って感じで、そりゃそうじゃない?という話です・・・しかしこの研究は「じゃ初心者と熟練者の視線の違いってあるの?」というところがポイントとなります。
リバウンドにおける初心者と熟練者の視線の違いとは?!
この研究では、ボールがリリースされるまでの動きを、以下E0,E1,E2,E3,E4の5つの区間に分けて、どのような視線の違いがあるかを分析しています。
E0:E1までの準備期間
E1:ボールを手に収めてから、膝を沈めるまで
E2:膝を沈めてからボールを頭の上にセットするまで
E3:頭の上にセットしてからボールが離れるまで
E4:ボールが離れてからのフォロースルー期間
まず視線の違いの1つ目としては、以下3点の違いありました。
・E0,E1,E2の期間で熟練者は初心者より、下半身を見ていた
・E3の期間で、熟練者は上半身を見て、初心者はボールを見ていた
・E4の期間で、熟練者は腕を見て、初心者はボールを見ていた
次に視線の違いの2つ目として、初心者はシューターもしくはボールの1点を見ていたが、熟練者は複数の要素を見ていたようです。数としては初心者が2.8~3.5か所を見ていたのに対して、熟練者は3.2~4.3か所見ており、0.4~1.0か所ほど多くの要素(シューターの身体やボール)を見ていたようです。
これらの視線の違いによって、シュート成功可否の正答率が異なってると言えるのでしょう。
まとめると、
・ボールを頭にセットするまでの期間では、熟練者は初心者より、下半身を見ている
・ボールをリリースして、フォロースルーをしている期間では、初心者はボールを見ているが、熟練者は上半身や腕を見ている
・フリースローを打つ過程において、熟練者は初心者より、シューターの多くの要素を見ている
初心者の方が熟練者に近づくための視線の使い方としては、
「シューターのボールを見るのではなく、腕や上半身や下半身など多くの要素を観察することが重要である」と言えそうです。
視線の使い方次第で、シュート成功可否の正答率が30%も違いが出るので、視線の使い方の訓練もリバウンドの上達のひとつの要素になりそうですね。ぜひ今回の記事や、リバウンドが上手な人の視線の使い方を参考に、視線の使い方も色々と実験して頂き、ご自身のリバウンドに活かしてもらえればと思います。
最後まで見て頂きありがとうございます。次回もお楽しみに。
このブログは参考資料と、このブログの過去記事を元に考察したもので、あくまで一説です。
参考論文:
・石橋千征ほか(2010).スポーツ心理学研究_バスケットボールのフリースローの結果予測時における熟練選手の視覚探索活動