【リバウンドの科学】❶勝敗に与える影響とは?❷DFとOFのどちらが有利?

【リバウンドの科学】❶勝敗に与える影響とは?❷DFとOFのどちらが有利?

リバウンドの重要性を改めて説明すると・・・

初回のブログで「バスケの勝敗は期待値と攻撃回数で決まる」という話をしました。でリバウンドが期待値と攻撃回数のどちらに影響するかというと、リバウンドは攻撃回数に影響する行為となります。

どの程度の影響があるかというと、リバウンド1回取ると自分たちの攻撃回数が1回増え、相手の攻撃回数を1回増やさないことになります。つまり攻撃回数2回分の差が出てきます。

リバウンドのこの効果は、OFとDFに限らないこともポイントです。OFでリバウンドを取っても、DFでリバウンドを取っても攻撃回数2回分の差が出てきます。

なのでリバウンドは非常に重要となります。スラムダンクで
安西先生「OFリバウンドを取れるならー2点が消え、+2点のチャンスが生まれる・・・」
桜木花道「4点分の働きってことか」

という安西先生と桜木花道の会話が有名ですが、OFリバウンドでなくてもDFリバウンドも同じ効果があるのでリバウンドは非常に重要になってきます。

シュート確率が低く、シュートの期待値を上げられないチームは攻撃回数を増やす行為、例えばリバウンドやスティールを練習すると勝利に近づくと思います。

今回は2つの論文を交えて2つのことを解説していきます。
1つ目は勝ったチームと負けたチームのリバウンド数の差ってどのくらいあるの?に対する論文の解説です。
2つ目はDFとOFのどちらがリバウンドは有利なの?に対する論文の解説です。

では早速リバウンドについての2つの論文を交えて紹介していきます。

❶勝敗に与える影響とは?

まず1つ目の論文はアメリカの大学リーグであるNCAAに関する2017年の研究です。研究対象はNCAAの2013~2014シーズンの男子NCAAディビジョンⅠの20試合です。この試合は得点差が1~9点差の試合だけを選択しています。この20試合の勝ちチームと負けチームの違いは何があるか?を研究した論文となります。

でどんな違いがあったかというと、以下4点です。
・DFリバウンドの数が多い 22.0本→24.7本(+2.7本≒10%)
・スティールの数が多い
フリースローの試投数と成功数が多い
・点数の構成比率で3Pの比率が高い

今回はリバウンドの話ですが、フリースローの数も多いんですね。
2013年のNCAAは20分ハーフで かつショットクロックも24秒ではなく35秒です。なので攻撃回数が少ないため単純比較はできませんが、やはりフリースローは重要なんですね。

フリースローに関しては過去にフリースローを決めるポイントということで3つのブログを投稿しているのでそちらをご覧ください。
【シュートの科学】フリースローを決める3つのポイント~その1~ギネス記録はなんとxx本連続!!

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試したり話したくなるバスケ科学を論文や書籍ベースに解説~BasketBall Science~

【シュートの科学】フリースローを決める3つのポイント~その2~QEトレーニングとは?!確率が22%アップする方法!!

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【シュートの科学】フリースローを決める3つのポイント~その3~PPRとは?!確率が15%アップする方法!!

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でリバウンドの話に戻すと、ポイントとしてはDFリバウンドの数が多いということ。負けチームが22.0本に対して、勝ちチームは24.7本(+2.7本≒10%)となっています。


得点差が1~9点くらいの試合でも2.7本しか変わらないととらえるか、2.7本も違うととらえるかは人によります。しかし1~9点差の試合ではDFリバウンドの数が異なるということはそれだけ勝敗に影響があるということ。これだけでリバウンドの知識や技術も身に着ける価値はあるかなと思います。

❷DFとOFのどちらが有利?

次の研究はポルトガルのポルト大学の2011年のリバウンドの研究です。身長やジャンプ力やリバウンドスキル(BOXアウトやチップアウトなど)が重要視されがちなリバウンドですが実はリバウンドの参加人数が大きな要因となっています。という研究となります。

リバウンドってDFが有利だと思いますか?それともOFが有利だと思いますか?実はDFだから有利、OFだから有利ということはあまりありません。実際はリバウンドに参加する人数が多ければ、有利になるという結果が出ています。

研究対象となる試合は、2009-2010年のユーロリーグのトップ16の全試合48試合のリバウンド2170本を対象とした研究となります。このリバウンド2170本と、リバウンドに参加する人数の関係性をまとめています。

で結果としては、
まずOFとDFの人数が同じ場合はリバウンド取得本数に違いはありませんでした。


次にDFが多い場合は、
 DFがOFより1人多いと、OFが4.2本/試合に対して、DFが15.68本/試合(3.7倍)
 DFがOFより2人多いと、OFが0.75本/試合に対して、DFが7.66本/試合(10倍)
 DFがOFより3人多いと、OFが0.2本/試合に対して、DFが1.6本/試合(8倍)



最後にOFが多い場合は、
 OFが1人多いと、DFが0.2本/試合に対して、OFが1.37本/試合(6.9倍)
となります。

つまりOF,DFに限らず人数が多ければリバウンド取得する本数が3.7~10倍増え
人数が同じならリバウンドに有意差はない、ということです。

これは非常に面白い結果で、個人のリバウンドスキルなども重要ですが、それと同等もしくはそれ以上にリバウンドに参加する人数が大きなウエイトを占めている可能性があると捉えられます。}

この結果の利用方法を2つご紹介します。

1つ目は速攻などハーフOFに比べて、リバウンド人数がイーブンになりやすいケースの場合は、リバウンドを取得できる可能性が高いので、速攻などの場合は積極的にシュートを打つこと。逆に速攻をされた場合のDFの立場で考えると、DFはリバウンド参加人数を増やすためだけでもいいから、必ずDFに戻ること。

2つ目はリバウンド参加人数をかけにくいハーフOFの場合は、次のDFに備えた方が良いということ。逆にDFの立場から言えば必ず5人全員でリバウンドに参加すること。

このように身長やジャンプ力やリバウンドスキル(BOXアウトやチップアウトなど)が重要視されがちなリバウンドですが、リバウンドの参加人数も重要だということを覚えておくとチーム作りや個人のリバウンドの意識も変わってくるかなと思いますので、ぜひご自身で活用ください。

最後まで見て頂きありがとうございます。次回もお楽しみに



このブログは参考資料と、このブログの過去記事を元に考察したもので、あくまで一説です。
参考論文:
・Daniele Conte et al.(2017)
Investigating the game-related statistics and tactical profile in NCAA division I men’s basketball games.
・Roberto Lampert Ribas et al.(2011)Analysis of Number of Players Involved in Rebound Situations in Euroleague Basketball Games

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