VO2Max(最大酸素摂取量)は全身持久力の指標です。運動中に体内(ミトコンドリア)に取り込まれる酸素の最大量を示す値で「1分間で体重1kgあたり何ミリリットルの酸素を摂取できるか?」という値なのですが、その辺は省略します。
VO2Maxはマラソンをやっている人なら知っているかもしれません。というのもマラソンの平均スピードとVO2Maxの数値に相関がある、というデータがあるからです。以下のグラフは横軸がVO2Maxの値で縦軸が走る速さの平均スピードとなります。これだけ見ても相関性があることがわかると思います。
マラソンのトップ選手だと80~90[ml/kg/min]くらいです。トップのマラソン選手のフルマラソンのタイムからVO2Maxを逆算した値を参考までに載せておきます。
•キプチョゲさん(2:01:39/オリンピック2大会連続金) ※•非公式で1:59:40のタイムもあり
⇒逆算で96.5[ml/kg/min]
•大迫傑さん(2:05:29)
⇒逆算で91.7[ml/kg/min]
バスケットボールのスタミナもVO2Maxと相関がある!というデータがありましたので紹介します。2009年のコロラド大学の論文に、「VO2Maxの値」と「試合中のランとジャンプの割合」に相関があることが明らかになっています。
以下のグラフは横軸がランとジャンプの割合(PAM) 、縦軸がVO2Maxの値です。このグラフを見てわかるように男女ともにVO2Maxの高い選手が、PAMの割合が多いことがわかります。
ランとジャンプの割合が多いということは、つまりバスケのスタミナがある!ということに他ならないということです。よってVO2Maxが高い選手は、バスケのスタミナがある選手!と言えるでしょう。
■実験条件など
•被験者:NCAAディビジョン2の12名(男性6名、女性6名)
•VO2Maxの平均値とバラつき
•男性平均:57.5±8.2[ml/kg/min]
•女性平均:50.3±5.9[ml/kg/min]
最大心拍の80~90%を目安にトレーニングをするとVO2Maxは向上するといわれています。アップルウォッチを使って心拍を測りながらHIITをして心肺機能を強化しちゃってください。具体的な強化方法はまたブログにあげます。
ちなみにご自身の最大心拍はおおよそ以下の式で求めることができるので参考にしてください。
・最大心拍=220bpm-年齢 ※20歳なら200bpm、30歳なら190bpm
バスケに本当に心拍数って関係あるの?と疑っているアナタ。バスケは心拍数が高くなる非常に激しいスポーツなんです。つまり心臓に非常に負担のかかるスポーツなんです。桜花学園の井上監督が過去に心臓に問題の抱える生徒をマネージャーにしたという話がありますが、納得できると思いました。
上段の論文と同じ論文の中に模擬試合をした時の心拍を測定した結果が載っていますので、紹介します。
5分×4本で、休憩1分の模擬試合を実施したところ、最大心拍が200bpm、平均心拍が168bpmを計測しています。以下のグラフは横軸が時間(分)、縦軸が心拍数となります。
実験対象が20歳くらいなので、最大心拍が200bpmくらいなのでバスケは最大心拍100%、平均心拍84%になる非常に激しいスポーツといえます。
ご自身で試しに最大心拍100%になるトレーニングを見つけてみてください。たぶんほぼ100%まで上げるのはムリだと思います。最大心拍90%になることも中々難しいので、改めてバスケは心拍数の上がりやすいスポーツであることがわかると思います。
そこまで心拍数上がるかまだ疑っているアナタ。実際にバスケをしているときにアップルウォッチをつけてみてください。私は10分のゲームで、最大心拍数192bpm、平均心拍161bpmまで上がりました。。私が34歳なので、最大心拍の100%超えていますからね・・・
アップルウォッチをつけてバスケをするのは、ぶつかって危ないので、対策を取ったうえで付けましょう。
私は利き腕の逆の右腕の、上腕(肩と肘の間)あたりにアップルウォッチをつけて、リストバンドをつけてぶつかっても危なくないようにしています。肘より先の前腕につけるときもあります。
特に上腕につけるのは、邪魔にならないのでオススメです。以下のようなナイロンバンドであれば最大で26.5㎝までなら対応できるので、上腕にアップルウォッチをつけることができます。腕の太さにもよるので、腕が太い方は「Tefeca アームバンド」 を使ってみてください。
一応私が使っているリストバンドも載せておきます。小さいモノが多く、アップルウォッチをちゃんと隠してくれるところがこのリストバンドの良さです。
上腕が26.5㎝以上ある方は「Tefeca アームバンド」であればおそらく対応できるはず。38㎝までの腕の太さに対応できるよう。
足首にアップルウォッチをつけている写真もあったので、足首でもデータ取れそうです。試してみたい・・・
VO2Maxの測定方法は次回紹介しますが、VO2Maxを測定した後に気になることは、自分のVO2Maxがどの程度のレベルにいるか?だと思います。以下がレベル分類表になりますので、ご参考にしてください。
私は最初VO2Maxが33.4(非常に悪い)でしたが、約半年で46.8(普通)まで上昇させることができました。どのようにVO2Maxを上げたか?については次回説明します。。VO2Maxが上がると日常生活で疲れにくくなります!
最後にバスケのプロ選手のVO2Maxがどの程度であるか、紹介します。女子で44~54、男子で50~60であると言われています。なのでひとまずその値を目指してトレーニングすると良いかなと思います。(参考資料:Ziv, G. and R. Lidor (2009). Physical attributes, physiological characteristics, on-court performances and nutritional strategies of female and male basketball players)
おいおい日本人のデータ知りたいよ、という方のために、2016年の日本の東海大学の論文を紹介します。
被験者は、「2009-15年の男子の日本代表orユニバシアード(大学卒業後2年以内)の62名(22.3歳±3.2)」で、その方々のポジション(身長別)のVO2Maxを整理してくれている大変ありがたい論文です。
以下の表ががポジション別のVO2Maxとなります。大体58前後ですかね。つまり男子のプロを目指すならVO2Max58を目指したいな、ということがわかるデータです。
センターだけ51.6なので少し低いですが、このあたりが海外との差なのかな、とも取れるデータとなります。
VO2Maxの測定方法として20mシャトルランがあるのですが、その目安となるシャトルランの目標値も一緒に記載してくれています。
”小山孟志、陸川章ほか(2016)男子バスケットボール選手における全身持久力目標値ガイドライン作成の試み”を元に表を作成
最後まで見て頂きありがとうございます。次回以降に、VO2Maxの測定方法と具体的な強化方法を紹介したいと思います。ぜひ皆さんもアップルウォッチを使って心拍数を測ってみてください!